2018年04月26日

ヤナギ物語E 今どきのヤナギたち

46. ネコヤナギが消えた

農業用ダム内の整地作業が行われていた。見てびっくり。ヤナギ原が土砂に埋もれていたのである。ありゃ〜・・・。ネコヤナギの観察が終わった。
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47. 対岸からのヤナギ原

今年も爆弾低気圧が予想される。ダムの整地もやむを得ない。むしろ安倍政権の温暖化対策が問題なのだ。原発依存と石炭火力発電に舵を切ったことの方が“異常”なのだ。このヤナギ物語シリーズに打撃となった。
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48. イヌコリヤナギの雌花

イヌコリヤナギの開花は、ウンリュウヤナギ、シロヤナギ、シダレヤナギよりは早い。そして、イヌコリヤナギの雌花は、雄花の開花より若干遅れる。
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49. イヌコリヤナギの雄花

イヌコリヤナギの雄花も、雌花も、その濃紅色の鮮やかさが素晴らしい。ヤナギ類は北半球の温帯に生息し約350種あるという。白亜紀(恐竜の繁栄と絶滅の時期)の化石で発見されたそうで、人間と同様、雄雌の区別で生き残った。虫媒花である。
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50. おびただしいエゾヤナギの雄花

巨木のエゾヤナギの下には6cm近くのおびただしい役割を終えた雄花が散乱していた。道路沿いにエゾヤナギがあると、舗装道路に散乱する様子は確かに汚いが、いつの間には綺麗になるから不思議である。
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51. 新芽が新鮮なエゾヤナギ

ヤナギの新しい若葉は新鮮である。葉で種を見分けるのが難しいのもヤナギ類の特徴で、ただ、エゾヤナギは托葉に特徴があるので助かる。若葉は若葉らしく、白い絹糸で覆われているようだ。
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52. 枝に立つエゾノカワヤナギの雌花

ヤナギ類の雌花は緑がかっているので、慣れると遠くからでも雌雄の区別ができるようになる。黄色がかっているのが雄花だ。
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53. 役割を終えつつあるエゾカワヤナギの雄花

葯から花粉を出すと、その役割を終えてしぼんでいく。もう、若葉が小枝の先から出て伸びていく。隣の葉の裏に小さなクモが隠れていた。なるほど、雄花に来る虫を捉えようとの算段である。自然は面白い。
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(つづく)

posted by 忍ちゃん at 18:01| Comment(0) | ヤナギ物語

2018年04月24日

ヤナギ物語D 爆弾低気圧と闘うヤナギたち

37. 爆弾低気圧の痕跡

ヤナギ類の観察地長流川沿いは、昨年の爆弾低気圧の痕跡が残っていた。それでもヤナギたちは逞しく生きている。枝に引っかかった雑草類が増水の凄さを残していた。
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38. 一挙に堆積

2級河川長流川は(アイヌ語 オ・サ?・ぺッ 川尻に葦原がある川)、はるかな昔からこの地を流れていた。

2007年5月、ウグイの観察で河畔を訪れる計画をしたが(水温15℃になると溯上)、直前の爆弾低気圧で機会を逃したことがあった。予想を超えた土砂の堆積を目の当たりにした時、自然を甘く見てはいけないことを教えられた(河口から約4km)。
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39. 農業用ダム

向こうに見えるのが農業用のダムで、5月中旬になるとゲートが降り川水が溜められ、その一部が「樋門」(ひもん)から水田に導かれる。
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40. 再び 爆弾低気圧

2018年3月、再び豪雨による増水があった。ヤナギたちはそれに耐え抜いた。
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41. 壮観なウグイの溯上

川は悪い事ばかりあるものでもない。毎年繰り広げられるウグイの壮観な溯上である。キタキツネやエゾタヌキもこれを狙ってやって来る。
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42. 色とりどりの石ころ

長流川の上流にグリーンタフ(緑色凝灰岩)の地層がある。また、まだ日本列島が大陸から分離していない2700万年前の地層もある。色とりどりの石ころがこの下流域に確認できる。その一つ一つの石ころには物語が隠されており、川原は物語を豊かにしているようである。
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43. 水晶を発見

青色系、緑色系の石ころを探していたら、大きな石ころの間に5cmほどの緑色の小さな石ころを見つけた。その小さな石ころのクレーターの中に小さな水晶があるのに気が付いたのだ。水晶だ。こんな小さな石ころにも長い々々物語があるものだ。
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44. この河畔と作業道路周辺には、イヌコリヤナギ、エゾノキヌヤナギ、エゾノカワヤナギ、エゾヤナギ、ネコヤナギ、シロヤナギ、ウンリュウヤナギ、ドロヤナギ、そしてバッコヤナギなど9種類がある。

各種の高木、低木、雄、雌、さらに、今成長しようとしている幼樹が混在し、早春を賑わせているヤナギミュージアムである。


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posted by 忍ちゃん at 17:43| Comment(0) | ヤナギ物語

2018年03月28日

ヤナギ物語C 早春のヤナギたち

23. 雪道

植物のうち、春を感じるのが早いのがヤナギだという。それを確かめに雪道を歩いた。山から下りてきたエゾシカの足跡の上を行かねば観察は不可能だ。
エゾシカの足跡

24. 最も早く春を感じるエゾヤナギ

冬、樹は芽を守る工夫をする。エゾヤナギは芽鱗(ガリン)と呼ばれる「とんがり帽子」をかぶって冬を過ごす。春を感じると帽子を脱ぎ、銀白色のふさふさとした毛をまとった花芽が顔を出す。やがてこの毛の中から雄蕊の黄色い葯が姿を見せる(今までの観察からこの樹は♂と分かっている)。お彼岸の墓前に供える家族もあるほどだ。
最も早く春を感じるエゾヤナギ

25. ネコヤナギも早い

ネコヤナギも早く感じる。エゾヤナギは巨木になるがネコヤナギはせいぜい2〜3mだ。早春の時期にエゾとネコを区別するのは難しいが、芽鱗はネコの方がとんがっていて、帽子の表面に毛がついているのがネコである。
ネコヤナギ

26. 3.11東北大震災追悼登山

スノーシューで登る有珠山は(外輪山473m)昨年よりも雪が多いが、雪解けが早いとの予報。明日3月11日は曇りなので前日の登頂を試みた。山はまだ冬だった。登山者が3人いた。
3.11東北大震災追悼登山

27. 100m先を親のエゾシカが2頭駆けぬけた。

「キョ〜ン」という鋭い鳴き声を発した。子ジカが2頭後を追った。静寂な山に響く生き物の叫びが響く。大自然のありのままの姿である。
100m先を親のエゾシカ

28. 2012年が最も雪が多い

追悼登山は今年で5回目。最も雪が多かったのは2012年3.11。2日前に登ったが、登山者は一人もいない銀世界であった。予想もつかない大地震と大津波。自然は、私たちを試しているように見える。ただただ、亡くなった方々のご冥福を祈り、残された家族の皆さんの幸せを祈るばかりである。
追悼登山

29. 最も多いエゾノキヌヤナギ

エゾノキヌヤナギも春を感じるのが早い。芽鱗もとんがり帽子。帽子にも枝にも毛がたくさん生えているので分かる。樹高も10mほどになる。冬芽を付けた樹を見ながらネコヤナギと区別してみてほしい。そして、冬芽どうしの間隔が狭く“密集”しているように見えるのがキヌだ。
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30. 川辺で出会えるエゾノカワヤナギ

川岸に行かなければ出会うことが難しい。もし、エゾヤナギ、ネコヤナギ、イヌコリヤナギ、エゾノキヌヤナギが混在していたら、その中で、しなやかで枝が赤色を帯びたものを特定してほしい。カワもイヌコリも樹皮は赤色を帯びているが、この時期、冬芽が互生で芽鱗を外そうとしているのがカワヤナギだ(イヌコリヤナギは対生 帽子はなく花芽が出るのが遅い)。
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31. 樹の先に白く円いのがエゾノバッコヤナギ

この時期、樹を見て白色で丸い芽があったらバッコだと思っても良い。芽鱗が特徴で見分けるポイントだ。実は、お椀状の芽鱗を自らの力で割って出てくるので、その割れ目が2枚にみえる。白い絹のような輝きを持つ花芽が見える。
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32. バッコは3月下旬がチャンス

早春を過ぎた下旬、遠くから見て、卵形の白い塊が枝一杯に見えるのがエゾノバッコヤナギである。樹高も10m以上にもなり、サクラの開花前、春の到来を告げる爽やかなヤナギである。
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33. そして開花

ネコヤナギが開花した。有珠山で『あっ ネコヤナギだ』と耳にしたネコヤナギが河畔で咲いた。そしてどこからともなく昆虫がやってきた。
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34. エゾヤナギもこの頃開花

ネコヤナギとは場所は異なるが、巨木のエゾヤナギも開花する。ネコヤナギの雄は紅色。葯の色だ。エゾヤナギは黄色でこれも葯の色、雄である。
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35. 満開のエゾヤナギ

ヤナギ類が雌雄異株なのは、葉でデンプンを生産する前に花を咲かせ、葉の障害物がない時期に風を呼び込み受粉するという戦略。また、特定の花を好まない昆虫類を引き付ける戦略だと言われる。
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36. 有珠山、納谷、エゾヤナギ

如何でしょう。素晴らしい情景とは思いませんか?
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posted by 忍ちゃん at 14:08| Comment(0) | ヤナギ物語

2018年02月25日

ヤナギ物語B ネコヤナギ

16. 「バッコ」と言わず「ネコ」にした

「ネコヤナギ」の言葉を有珠山で耳にして3年が過ぎた。『ヤナギの見分け方は素人には難しい』との忠告もあったがわかったことがあった。それは有珠山の女性たちが「バッコ」(白髪のおばあさん)と言わず「ネコちゃん」と呼んでジョークを言い合っていたということである。そして2017年の秋、ネコヤナギとやっと出会うことが出来たのである。
バッコヤナギ

17. 晩秋のネコヤナギ

2017年9月18日、この地方に台風18号がやってきた。テレビのテロップに「伊達市 避難勧告」と出た。長流川(アイヌ語 オ・サ?・ぺッ 川尻に葦原がある川)が増水したからである。この川原で見つけたネコヤナギが心配で見に行った。河口から4km上流は増水で激しく荒らされていた。「ネコちゃん」は倒れながらも増水に耐えていた。まさに『たくましいネコヤナギ』であった。
洪水の被害を受けたネコヤナギ

18. 赤い葉柄の膨らみ

葉柄の根元が大きく赤く膨らんでいるのがネコヤナギだとわかった。その膨らみの中に、春、花を咲かせる冬芽が出来ていた。
葉が落ちて姿を現した冬芽

19. サケの遡上

ネコヤナギが生えている川岸から100m上流に農業用ダムがある。ゲートは開いているのでサケの遡上が壮観だ。北海道の風物詩である。
サケの遡上が壮観

20. イヌコリヤナギの冬芽

ネコヤナギと同じ場所にあったイヌコリヤナギの冬芽である。対生の冬芽はこのヤナギの特徴でもある。冬芽のない黒い枝が下にみえる。環境に合わせ、樹全体の無駄なエネルギーの消費を防ぐために枯らすのだ。しかも冬芽の痕跡は螺旋状である。大量生産、大量消費、大量廃棄の人間世界は見習うべきである。
イヌコリヤナギの冬芽

21. エゾノキヌヤナギ♀

川原から外れたところに観察されたまだ若い(高さ2m)エゾノキヌヤナギの冬芽である。ヤナギでも、春と秋、樹齢によって外見が異なるので厄介だ。『素人には難しい』は本当だった。
エゾノキヌヤナギの冬芽

22. エゾノキヌヤナギ♀老木

川原から50m離れた高さ6mのエゾノキヌヤナギ♀である。♀♂の区別は、雌花、雄花でしか見分けることが出来ない。開花時に、遠くから見て樹全体が黄色を帯びていれば雄の樹、緑を帯びていれば雌の樹である。街路樹にイチョウを利用している所がある。ほとんどが雄の樹だ。銀杏で道が汚れるのを嫌ったからである。昭和新山では、ヤナギの綿毛(柳絮リュウジョ)が店に入ってくることがある。お客さんが『この店、掃除していないのか?』と疑われやしないかと思うそうだ。ヤナギは意外と私たちの生活に関わっているようだ。
エゾノキヌヤナギ♀

posted by 忍ちゃん at 15:44| Comment(0) | ヤナギ物語

2018年01月29日

ヤナギ物語A ヤナギといえば川原

09.    私の『ネコヤナギ』のイメージ
花の好きな知り合いが、毎年、3月下旬になるとヤナギをとってきて、教室の花瓶に挿し「ネコヤナギ」と言って皆で春を喜んでいた。ネコヤナギ=身近なヤナギとして私にインプットされていた。高い山にも「ネコヤナギ?」と、なぜかその時フッと湧いたのだ。この写真は、都市計画の一環として整備した小さい川の直線化である。大きく広げた川原のヤナギたちだ。これがネコヤナギだと思っていた。
ネコヤナギ シャミチセ川

10.    川原のヨシも元気に
蛇行を直線化した全長が約7km、川幅2mそこそこの小川である。「シャミチセ」川という(アイヌ語 サ?・チセ 和人の家)。ニジマスも棲んでいた。洪水など考えられないのに、直線化・拡幅化が行われ、景観が悪くなるということで伐採が行われた。小川はヨシの中に姿を消した。ネコヤナギってすごいと思っていた。
シャミチセ川 ヨシ

11.    樹齢6〜10年
調べてみると、樹齢10年ものもあり(幹回り61cm)、多くが6〜8年である。
成長の早いヤナギ

12.    気門別川
ここも河口に近く洪水対策として拡幅工事が行われた。全長約18kmで気門別川(キモンベツガワ アイヌ語 キ?・ウン・ペッ 山に入る川)という。堆積した砂泥は栄養に富む。川の拡幅はヤナギ類の絶好の繁殖地となる。これらも皆「ネコヤナギ」?
気門別川 拡幅工事

13.    予想できなかった爆弾低気圧
度重なる爆弾低気圧の到来で、上流からの砂泥が堆積し河床がみるみると上昇していく。治山事業なのに温暖化の中で住民の不安が増していた。
気門別川 拡幅工事 砂泥堆積

14.    緑に覆われた河川
半年のうちにヤナギ類があっという間に繁茂した。「可愛いネコヤナギ」のイメージは遠い世界のように思えてくる。そして水害への恐怖から「邪魔なネコヤナギ」となる。
気門別川 拡幅工事 砂泥堆積 ヤナギ繁茂

15.    危機一髪
2017年9月18日台風18号が上陸し豪雨をもたらした。川周辺に避難勧告が出され大混乱となった。ヤナギたちも根こそぎ濁流に押し流され無残な姿となった。
気門別川 拡幅工事 砂泥堆積 ヤナギ繁茂
(つづく)

posted by 忍ちゃん at 16:44| Comment(0) | ヤナギ物語