2020年11月28日

河口と海岸をめぐって〜10

85. この砂州の東約400mに350mの巨大「農業用護岸工」が建設された。「5年間で5億円の予算が付いた」との情報が2013年の春、自治会にあった。住民側は「街なのになぜ農業用?」「海岸が侵食されている?うっそ〜」と説明会で紛糾。すったもんだの末「30年に一度起きる大波を阻止するため」と、振興局が建設理由を変更して決着した。「港湾工法」による「1枚2tの『洗掘ブロック』『被覆ブロック』」を積み上げる大盤振る舞いがこの工事の目玉だった。
85この砂州に農業用護岸工?

86. 「後は野となれ山となれ!」、温暖化の根本要因である。あっという間に狭まる緑の大地。その一方で、動植物は厳しい環境の中で生き残ろうとしている。
2019年12月中旬、中国・湖北省武漢市で原因不明のウイルス性肺炎(男性57歳)が発生した。パンデミックの始まりである。
86厳しい環境の中で

87. イタチハギ(マメ科)が防波堤の安定した土地に生えていた。砂州ができ先駆的植物が裸地を草原に変えた。やがて地中層が安定すると、渡り鳥が運んだと思われる先駆的木本・イタチハギが根付いた(外来種)。砂州はその遷移を短期間で見ることができる。
87先駆的木本・イタチハギ

88. イタチハギの果実が、落ちることなく春を迎えていた。
88イタチハギの果実

89. 冬芽が春を感じ目を覚ました。
89イタチハギの冬芽

90. 91イタチハギの開花である。火山灰地の草原でも見ることができる。鳥による散布と思われる。
90イタチハギの開花91イタチハギの開花

92. 果実として成熟した。いぼ状に見えるのが腺点。何らかの分泌に関係している。野鳥を呼び寄せる匂いを出しているのかもしれない。
92イタチハギの果実

93. 整然と並んだ葉。葉にも、茎にも、果実にも、いぼ状の斑点がある。地中では根粒菌がイタチハギを支えている。

93イタチハギの整然と並んだ葉

(つづく)

posted by 忍ちゃん at 12:53| Comment(0) | 河口と海岸をめぐって

2020年11月09日

河口と海岸をめぐって〜9

71. 住民説明会で配られた海底図である。「有義波高」「海底コンタ」など、専門用語があり住民は戸惑った。住民を説得しようと上司が室蘭からわざわざやってきて調査日付のない図を示し、「理由は『侵食』ではなく、『数十年に一度起きる(高波による)越波を防ぐため』だ」と訂正した(2013年11月)。
71長流川河口海底図

72. 海底図をカラー化してみた。全体として、長流川の堆積物が次第に沿岸を浅くしているのがわかる。予算が付けば理由など、どうでもいいということのようだ。
72長流川河口海底図カラー

2020年9月下旬、かつて胆振総合振興局農務課に勤めていた職員が(2016年春ころ)、官製談合の疑いで旭川警察署に逮捕された。胆振にいた頃、業者に入札情報を漏らしたというのである。

安倍政権下、復興税1兆円がばらまかれた。税金の奪い合いが行われたはずだ。見返りを期待する行政側の気の緩みがあったのではないか。

73. 2016年9月21日、砂州上の植生を調査した。強風、濁流の影響を受けやすい砂州である。
73砂州上の植生を調査

74. 激しい変化の様子を、時系列で追ってみよう。破砕帯とは、「海底図」で示された海の中の断崖、水深3~6mの所である。

沿岸からやって来る波は、この海の中の断崖にぶつかり盛り上がる。白波が見えるのはこのためである。
74長流川河口観察メモ

75. ゲリラ豪雨で大量の土砂が流れ込み、堆積が進む海岸線である。
75堆積が進む海岸線

76. 台風10号がやってきて、突堤も埋もれた。一方で、浜崖ができ海岸線に進出していた植物を洗い去った。
76長流川河口観察メモ

77. 2016年の冬を迎え、北西の季節風が吹き荒れた。それに合わせるかのように、波の向きも北西方向からやってくる。砂州の形も東に伸びた。長流川も東に向きを変え、蛇行した。
77長流川河口砂州観察メモ

78. 秋、広がっていた海岸線を侵食し、突堤gJの砂底を侵食した。
78長流川河口砂州

79. 春を迎える頃、突堤gJは沈んで見えなくなった。突堤の役割はなくなった。
79砂に沈む突堤

80. 春の嵐が去り、突堤gIが流れをさえぎり、不思議な砂州となった。経過を見ていなければ説明できない砂浜となった。
80長流川河口観察図

81. かつて蛇行していた川の名残である。いずれ、この水溜りも消えると予想された。
81長流川河口

82. 2017年秋の植生調査である。浜崖が2か所できている。先駆的植物はオニハマダイコン(外来種)とオカヒジキである。続いて、ハマニンニクの島状草原(パッチ状草原)ができる。ウンラン、コウボウムギ、メマツヨイグサは、安定的な浜崖の上に生育する。
82長流川河口砂州植生調査

83. 2020年の5月、ハマエンドウ(マメ科)の群落ができていた。浜崖の上、安定的な場所に広がっている。根粒菌の助け受けた有利さがあるからだ。
83長流川河口植生 ハマエンドウ

84. 消えると思われた長流川の名残は、容易に消えない。地下水が流れ込み、地下水として流れ出ているようだ。突堤gIも、gJと同じように沈んで見えなくなり、砂浜が広がった。かつて、砂浜を歩いて行けなかった突堤gHに、歩いて行けるようになった。堆積が進んでいる。
84長流川河口 進む堆積

posted by 忍ちゃん at 14:45| Comment(0) | 河口と海岸をめぐって