2020年04月25日

昭和新山の生き物4 昭和新山の植生研究

18.
2019年11月、昭和新山植生の研究者・春木雅寛氏(北大総合博物館 研究員)を招き、一年を振り返る検討会を行った。春木氏は「新しい土壌観」を提唱していて、火山マイスター「植物調査」グループは、調査前にこの内容を学び、「植種の確認と、火山と植生の関係」を視野に予備的な調査として進めたのである。
18昭和新山植生の研究者・春木雅寛氏

19.
昭和新山駐車場の管理人さんの間で、標高370m前後の壁に立つ2本の樹が話題となっていた。「土産店に入る綿のようなものはドロノキのもので、それが風に乗って飛んでいき、あそこで発芽したんです」と問われて応えると、「最近、急に緑が多くなってきた」と乗ってくる。「火山灰には窒素、リン、カリが豊富にある、がっちり根を下ろしてデカくなった、森の始まりが始まったんです。あれは開拓者、パイオニアですよ」と言うと、「すごいですね〜」と、その凄さを喜んでいた。
19昭和新山ドロノキ

20.
高校教科書には「岩石(母岩)が物理化学的に風化して生じた砂や粘土に、生物由来の有機物(腐食)が混じり、土ができ、森林植物が出来る」と記述されている。昭和新山は、砂や粘土ができる前に根を下ろし、火山灰に含まれる無機態窒素(アンモニウムイオン、硝酸イオンなど)や、可給態リン酸(リン酸イオン カルシウムイオン、鉄イオンと結合し植物が吸収する)を吸収し成長するのである。日本は火山の島、森林への遷移を画一化すべきではないと思う。
20昭和新山のみどり

21.
2000年噴火から20年経った西山火口を「新しい土壌観」で見ると次のようなことが言えるのではないか。
『物理化学的に風化して生じた砂や粘土』ができたのではない。すぐそばの火口から噴出した火山灰が積もり、風で運ばれる植物の種子が、その火口縁で発芽したということである。』
カラマツ、シラカバ、ススキが観察できるからである。
21火山灰

22.
その火口縁にハリギリもある。ハリギリのタネは実の中にあるので風散布種ではなく動物散布種に区別されている。ここから南西約200mには噴気孔もある(2019年5月 98℃)。真冬であっても雪は解けている。エゾシカやキタキツネの足跡が雪の上に多数目撃できる。活発に動いている証しだ。また、渡り鳥も通過する。裸地からの遷移は、単純な道筋ではなさそうだ。
22火口縁のハリギリ

posted by 忍ちゃん at 17:26| Comment(0) | 昭和新山の生き物