2020年02月27日

昭和新山の生き物2 わからないことを楽しむ

(06) 観光客が訪れる展望台の近くにひときわ葉の大きなシラカバの肌に似た樹があった。芽吹きが遅く、芽吹くとあっという間に葉を大きくする。「ウダイカンバ」と専門家は言う。石を手に取り「シソキセキセキエイアンザンガン」と言われたことがあった。赤い昭和新山の石との違いに驚いて覚えた。「あれ、ウダイカンバだ」と葉のデカさが遠くからもわかるカバノキ科の一つである。
06ウダイカンバ 昭和新山

(07) 伊達高科学部は1964年調査を終え、昭和新山の「植物調査」報告書を発表した。噴火終息約19年後だ(1945年12月)。西山山麓2000年噴火後の今と重なる時期ということになる。つまり、西山山麓火口周辺を歩くということは、当時の伊達高校生の気分となるはずだ。
07伊達高校昭和新山調査

(08) 2000年噴火15年後の西山山麓火口である。オオイタドリ、アキグミ、シラカバ、ハンノキ、エゾノコンギク、ススキ、ヒメジョオン、アキメヒシバ、噴気孔は100℃、春には周辺にハハコグサがあった。
08西山山麓火口

(09) 伊達高科学部報告書に出てくる植物は以下の通りで、遷移図はそのうちの6種(オオイタドリ、シロツメクサ、スギナ、ホッスガヤ、ミヤコグサ、ヤナギ)。他に、フキ、オオマツヨイグサ、オオバヤナギ、スベリヒュー、ミヤマハンノキ、シラカバ、苔、イヌタデ、ウダイカンバ、アカザ、ドロノキ、ラクヨウがあった。ラクヨウはカラマツである。
09カラマツ 西山山麓

(10) 2000年噴火が起きた3月31日、火口から約600m南西に洞爺湖幼稚園があった。噴石と火山灰が降り注ぎ、直径1.3mの噴石も落下した。建物は破壊され、広い運動場も地殻変動で傾いた。ここに「植生回復観察エリア」が設けられている。アキグミ、シラカバ、ドロノキ、ノイバラ、アカツメクサ、アキタブキ、アマニュウ、オオハンゴンソウ(外来種)、オオヨモギ、スギナ、ススキ、シロツメクサ、ノラニンジン(外来種)がある。
10植生回復観察エリア有珠山噴火

(11) 昭和新山の入口ゲート前である。70年が過ぎ、多様な植物たちが待ち構えていた。すると専門家は「ドロ、ホオ、うわ〜、いっぱいある!」と私たちに言うのである。そして「あっ、ダイコンソウだ!」とも。火山マイスターにとっては、何が何だかわからない。わからないことを、楽しむしかないのである。
11昭和新山入り口ゲート

(つづく)

posted by 忍ちゃん at 14:09| Comment(0) | 昭和新山の生き物

2020年02月04日

昭和新山1 プロローグ

(01) 「畑の中から生まれた火山」「日本の国の特別天然記念物」「個人所有の火山」などと世界に知れわたった山を一目見ようと、今も、国内・外から多くの観光客が観光バスでやってくる。撮影場所は海抜約180mの駐車場。標高398m、高低差約210m、地下深くのマグマが顔を出した赤い山です。長い時間をかけ収縮し、数m低くなりました。
01畑の中から生まれた火山

(02) 70年以上たった昭和新山です。昔、修学旅行で見たという観光客は、異口同音に、「昔と変わらない」「緑はなかったはずだ」と言い、三松正夫氏がこの山を買い取った目的を、70年経った今の人々が表現してくれます。不確かな思い出に浸り懐かしみ、少年時代にタイムスリップさせてくれる山です。
0270年以上たった昭和新山

(03) この図は北海道伊達高等学校科学部(指導者・小松浩一教諭)らが、植生の回復として行った調査図をカラー化したものです。オオイタドリが、年とともに、少しずつ山頂に向かって生えあがっていく様子がわかります。
03オオイタドリ

(04) オオイタドリの雌です。生育し始めた昭和22年(1947年)頃から、伊達高科学部が調査を始め、1951年、1956年、1960年、1964年の4回にわたって記録しました。その熱意に頭が下がります。
04オオイタドリの雌

(05) 洞爺湖有珠火山マイスターらは、高校生のこの調査に元気づけられ、特別な許可をいただき、植物調査チームを編成し、これに地元の「NPO法人・森ネット」の専門家を加えた調査を始めました。
05昭和新山植物調査チーム

(つづく)

posted by 忍ちゃん at 14:22| Comment(0) | 昭和新山の生き物