2018年11月15日

ヤナギ物語R ウンリュウヤナギ

140. 分かりやすい外見
紅葉時、目立つ赤色のカエデ類に目を奪われる。春の緑の森でも黄緑色に映えるドロノキに目が移る。その中に遠くから見てもわかるウンリュウヤナギがある。小枝がねじれているのですぐわかる。他のヤナギに比較し発芽が遅い。このねじれが好まれ、生花に小枝が使われ通販でも購入できるという。その世界では有名だ。
140ウンリュウヤナギの枝

141. 小さい冬芽
冬芽は小さい。赤味を帯びてきたのでそろそろ開花である。雲龍という言葉から原産は中国大陸。明るい場所、しかも川沿いに多い。一度、自然の中のウンリュウヤナギを観て花瓶に生けてみてはいかがでしゅう。
141ウンリュウヤナギの冬芽

142. 雄花
雄花も小さい。
142ウンリュウヤナギの雄花

143. 雌花
雌花も小さい。雌の樹は少ないので貴重な映像だ。雄雌の区別があることを知らないで生けているのではなかろうか。もし知っていたら、作品の意味も異なってくるのではないだろうか。関係ないかな?
143ウンリュウヤナギの雌花

144. 特徴ある葉
葉は、多少スプーン状なので、他のヤナギとは若干異なっている。葉脈もねじれている。ひねくれ者? いやいや、インパクトを与える存在?
144ウンリュウヤナギの小枝

145. 葉脈に注意
葉の中心を通る主脈をよく見ると、やはりねじれている。もしかしたら、風の強い場所が故郷だったのかもしれない。少年を乗せた龍のように空高く舞う正義の味方かもね。
145ウンリュウヤナギの葉

146. ヤナギのイメージがない
葉が密集して見えるのもねじれているからか。ねじれによって効果的な光の吸収を図っているようだ。葉に光沢がある。光を反射させて互いに光のエネルギーを分け合っているのかもしれませんね。省エネのヤナギ?
146ウンリュウヤナギの葉

147. 黒いシミを持つ葉
ヤナギの葉は、葉を落とす前はどれも汚いが、ウンリュウヤナギは黒いシミが特徴だ。老化を素直に表すので私にとっては親しみを覚える。
147ウンリュウヤナギの秋の葉

148. 晩秋のウンリュウヤナギ
まもなく葉が落ちる。龍が雲に向かって登るようだ。雲龍の意味が良くわかる優れものである。
148ウンリュウヤナギ

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2018年10月29日

ヤナギ物語Q イヌコリヤナギ

128. 分かりやすいイヌコリヤナギ

冬芽が対生であるイヌコリヤナギは、春先でも見ればわかる。しかも、枝が紅く目立つ。

よく見ると、対生しながら螺旋状についている。上から見ると、葉が重ならず光を受けるように仕組んでいるのだ。

幹が太く5〜6mの高木のイヌコリヤナギは、めったに出会うことはできない。
128イヌコリヤナギ

129. 対生の乱れ

「対生」というが、他の枝を見ると「互生」もある。冬芽は腋(わき 葉の付け根)に出来る。葉は小枝に螺旋状に出来るのが多いが、その乱れが対生であるという。冬芽が互生なのは、イヌコリヤナギが、その小枝が置かれた事情で互生にしたのだろう。
129イヌコリヤナギ 雌花

130. 雌雄の違いは色で

♂♀の違いは冬芽の芽鱗がとれた時の色で見分けると良い。慣れてくれば、芽鱗が外れた時の絹のような毛がついているのが雄だとわかる。
130イヌコリヤナギ 雄花

131. 鮮やかな色

イヌコリヤナギは葉が生えるのが早そうだ。
131イヌコリヤナギ

132. 雄花の葯

雄花も色鮮やかである。花全体に比較し葯が大きい。
132イヌコリヤナギ

133. 雌花から綿毛が見える

イヌコリヤナギの開花だ。白く見えるのが綿毛で、ここが開いてタネが着いた綿毛が風をキャッチして飛んでいく。
133イヌコリヤナギ

134. 役割を終えた雄花

葯がしおれると黒くなる。
134イヌコリヤナギ

135. 密集した綿毛

不思議です。こんなにも綿毛に覆われた枝があるなんて。イヌコリヤナギには、アワフキムシの泡もついている。時々、間違える時がある。
135イヌコリヤナギ 綿毛

136. 枝の先の赤色が目印

葉も対生である。遠くから見ても、枝先の葉が赤くなっているのがイヌコリヤナギの特徴だ。まだ十分に光合成ができない状態である。
136イヌコリヤナギ 葉

137. きっちりした葉の列

上記の小枝の葉を、下から順に左からジグザグに並べた。小枝の下の葉が小さいのは、昨年、頂芽が伸びて次の年の腋芽を造る時、太陽高度の変化、日照時間長短によって、順序良く冬芽が形成されていることを示している。
137イヌコリヤナギ 葉

138. 腋芽と冬芽

植物のつくりには様々な難しい言葉が出てくる。葉の腋(わき)に出るのを腋芽(えきが)といい、葉が落ちる頃に赤くなる。葉が落ちると冬芽(ふゆめ)という。なぜ落ちるかというと、付け根にコルク状の壁が出来るから。
138イヌコリヤナギ 冬芽

139. 冬芽が出来ていない小枝がある

冬芽のない黒い枝2本(一昨年の枝)と赤い枝1本(昨年の枝)がある。エネルギーの無駄と光の射し具合を勘案し、余計な枝を自ら切り落としていくのである。枝が絡み合うのを防ぎ、全体に光が行き渡りイヌコリヤナギの樹冠が作られていく。
139イヌコリヤナギ 冬芽

posted by 忍ちゃん at 12:16| Comment(0) | 植物

2018年10月13日

ヤナギ物語P オノエヤナギ

118. 新たに登場オノエヤナギ

今まで登場していないオノエヤナギである。伊達市には深い谷をつくった川、谷藤川がある。その渓谷の川原でオノエヤナギを知った。渓谷にあると思い込んでいたが、昭和新山の麓にも波形鋸歯のヤナギを見つけ、川がないのに不思議に思っていた。
118伊達市オノエヤナギ

119. ダムの新たなヤナギ

4月下旬、農業用ダムがブルドーザーで整備されたが、土砂に埋もれるのを免れたヤナギがあった。葉が出来る前はエゾノキヌヤナギに似ていたので自信がなかったが、葉を見てオノエヤナギと確信した。葉は革質で艶がある。
119長流川オノエヤナギ

120. 芽鱗を外した雄のつぼみ

以前から、エゾヤナギ、ネコヤナギ、エゾノキヌヤナギ、そしてエゾノカワヤナギとは異なった種ではないかとカメラに収めていた。芽鱗を外すのも開花するのも遅い。「ヤナギは素人には難しい」を、この時も思い知った。
120芽鱗 オノエヤナギ

121. 黄色の葯

川原には、すでに開花したネコヤナギやエゾノキヌヤナギがあるが、白い絹の毛におおわれたつぼみが割れて黄色い葯が現れた。
121雄しべ ヤナギ

122. 雌の樹では

雌の樹でも、ちょっと遅れて芽鱗を外して雌花が顔を出す。雌花の下にあるのが「托葉」。「托葉」「小枝が褐色」これも見分けのポイントである。大いに迷い楽しんでほしい。葛飾北斎が、70歳を過ぎて本格的に絵に没頭できたのは、「好奇心」と、その衝動を支えた「歩く」行動力だ。
122雌花 ヤナギ

123. 雌花は緑色に変化

オノエヤナギの雌花は、やがて、緑色に変化していく。観察には「待つ」という忍耐も必要だ。北斎が生きた頃は、平均寿命50歳。好奇心に満ち満ちた北斎は90歳まで動いて生き抜いた。大したもんである。
123雌花 オノエヤナギ

124. 数が少ない

枝についている雄花の雄しべどうしは幅があり本数が少なく感じる。エゾノキヌヤナギとの違いである。
124雄花 オノエヤナギ

125. 雌花も少ない

雌花の雌蕊の間隔も広そうだ。本数が少なく感じる。エゾノキヌヤナギトの違いであろう。オノエヤナギは、高知県の山中ではじめて見つかり、峰の上のヤナギという意味で付けられたそうだ。標高の高い所には生えないそうで、誤解を受けると書いてあった。植物の名前は、最初に発見した人の好みで付けるようだ。
125雄花 オノエヤナギ 名前由来

126. 分かり易い波形鋸歯

葉が出るのが遅いので、春の観察会で見分けるのは難しいかもしれないが、非常にはっきりした波形の鋸歯があり、エゾノキヌヤナギとは異なるので分かり易い。
126オノエヤナギの葉表

127. 分かりにくい「葉を裏に巻く」

エゾノキヌヤナギの葉裏は、光を斜めに入れると絹毛で反射し光を感じるが、オノエヤナギは反射しない。図鑑では「葉の縁を裏に巻く」としているが、エゾノキヌヤナギも、若葉が裏に巻くので、見分けるポイントにすると判断に迷う。粘り強く、その場所に行って成長の様子を観察し続けると分かるものである。その感動は、ヤナギにまつわるストーリーとして記憶に刻まれる。
127オノエヤナギの葉裏

(つづく)

posted by 忍ちゃん at 14:35| Comment(0) | 植物

2018年09月28日

ヤナギ物語O エゾノキヌヤナギA

113. よみがえるネコヤナギ!

ヤナギ物語Eの46、47で、このシリーズでの衝撃をご覧ください。ヤナギ原が消えた事件です。ブルドーザーでヤナギ原が整地され、ネコヤナギが土砂の中に埋もれてしまったことがあった。その場所で、ネコヤナギが芽を出していたのだ。何という生命力!綿毛に満ち満ちた復活した若いネコヤナギだ。
復活 ネコヤナギ

114. 赤色の葉の根元

そして秋を迎えようとしている9月。葉柄の根元の赤さが際立っていた。間もなく葉が落ち、冬芽が姿を現すであろう。今年最高のスクープだ。観察を続けてよかった!
復活 ネコヤナギ

115. 秋を迎えて

エゾノキヌヤナギの秋の茎の様子である。これも葉の根元、葉柄に冬芽がすでにできている。
エゾノキヌヤナギの秋の茎の様子

116. 赤い色を帯びた冬芽

葉が落ちるたびに、紅い冬芽が裸になる。そして栗色となり雪を待つ。
エゾノキヌヤナギの秋の茎の様子

117. 北海道の午後4時前の観察

北海道の午後4時は真っ暗だ。そんな映像を提供したい。エゾノキヌヤナギは、冬芽の数が密集していることも特徴の一つである。
エゾノキヌヤナギの秋の茎の様子

(つづく)

posted by 忍ちゃん at 14:52| Comment(0) | 植物

2018年09月13日

ヤナギ物語N ヤナギと防災

106. 橋の架け替え後

9月5日台風21号が来た。翌日午前3時北海道胆振東部地震が起きた。「防災」とヤナギは全く関係がないのではない。道路の法面にヤナギを利用することもある。土砂の崩れを防ぐためだ。ヤナギの生態は一休みしよう。

さて、写真に見える橋は北海道伊達市に流れる気門川の橋。JR伊達紋別駅の直近である。

拡幅工事が行われ、この川に架かる2つの橋が新しくなった(工事終了12年12月)。すでにヤナギ類が繁茂している。いつ根付き始めたのか不明である。
ヤナギと防災

107. 拡幅工事3年後

ヤナギ類は、土地が痩せている所でも生き延びる。この性質を利用し、道路の法面の土砂崩れを防ぐためにヤナギの樹を植える工法もある。ヤナギは利用されたり駆除されたり、人間によって翻弄される。
ヤナギと防災

108. 2017年9月18日台風18号

川周辺に避難勧告が出され、危機一髪のところで水害を免れた。ところが、市内の別な小さな川が氾濫し、その様子がTVで全国放送された。約1年間、住民は迂回道路を利用して街に出かけている。

気象学者らは近年の巨大台風の到来と豪雨は、これからも続くと警告するが、温暖化によって地球全体の水蒸気量が多くなったと、自信がなく口に出しては言えないようだ。
ヤナギと防災

109. 川の浚渫

北海道の管理下に置かれたこの川は、夏前に工事が始まり川底の土砂類が取り除かれた(浚渫しゅんせつ)。グリーンランド・南極の氷床が地球温暖化で融け、莫大な水となり、周辺の海水濃度を薄め、以前よりも軽くなり、深く沈む力が弱くなって、地球全体の海水の循環が鈍くなった(海洋深層大循環)。その結果、赤道周辺の表層海流も減速したため、太陽に照らされた海水温が上昇し、大気に含まれる水蒸気量が多くなったのだ。
ヤナギと防災

110. 台風21号で再び堆積する砂泥

巨大台風がまた北海道にやってきた。時速80kmとスピードを増し、午前3時頃には北海道留萌沖を975hPaで通過した。豪雨を伴ったが、通過が速く不安になるほどのものではなかったが、浚渫直後の川に砂泥が堆積した。関係者にとっては大きなショックである。
ヤナギと防災

111. 河口には砂州が発達する

砂泥は長い年月を通じて堆積し河口を塞ぐものである。満干潮が起きるたびに海に堆積した砂泥を川へと運ぶ。台風の到来で起きる高波は、その運ぶ量をいっそう多くする。住民は覚悟を決めるべきなのかもしれない。
ヤナギと防災

112. いつヤナギが生えるのか

調査・研究のフィールドとしてこの川に興味がわく。ヤナギの種は綿毛をつけて初夏に飛散する。水に浮き上流から下流へと運ばれる。真っ新なこの小さな中州には、いつ、どんなヤナギ類や他の植物が繁茂するだろうか。
ヤナギと防災

(つづく)

posted by 忍ちゃん at 14:12| Comment(0) | 植物