2018年07月16日

ヤナギ物語J しなやかに揺れるエゾノカワヤナギA

86. 雄花は落ちる
エゾノカワヤナギの雄雌を、距離を置いて区別できるのはこの時期だ。雄花を落し、何もないのが雄、葉以外の花がついているのが雌である。
86エゾノカワヤナギ

87. 白い綿毛が顔を出す
雌花をよく見ると、実が熟し始め、白い綿毛が顔を出す。
87エゾノカワヤナギ

88. 黄色づく実
緑色から黄ばみ始めると、綿毛が風をキャッチして飛んでいく。タネは非常に小さい。オニグモのバルーニングのように、行くあてもなく風任せである。
88エゾノカワヤナギ

89. 「しなやか」の意味
図鑑では「狭披針形、長さ6〜16p、細鋸歯縁、無毛」など書かれている。触ってみると厚みがなくコピー用紙のように柔らかい。エゾノキヌヤナギは厚みがあり区別できる。「しなやか」と表現したのをご理解願いたい。
89エゾノカワヤナギ

90. 裏側は『無毛』
裏側には毛はない。葉の縁は「細かい のこぎり型」。
90エゾノカワヤナギ

91. 小枝の様々な葉の様子
小枝の葉を、上から順に右側から並べたものである。下に行くほど鋸歯が鋭さを失っている。上の方が新しく出た葉だから、下の方は“老化”したのだろうか。
91エゾノカワヤナギ

(つづく)

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2018年06月27日

ヤナギ物語H しなやかに揺れるエゾノカワヤナギ@

80. 川岸に生えるエゾノカワヤナギ

エゾノカワヤナギは、川沿いに行かなければ会えないヤナギだ。アイヌの神儀に作られるイナウ(アイヌの幣)はヤナギ類などが使われるので、エゾノカワヤナギは手頃である。漢字で「蝦夷の川柳」と書くが、「川柳(せんりゅう)」が気になる。芽鱗を脱ぐ雄のエゾノカワヤナギ。
芽鱗を脱ぐ雄のエゾノカワヤナギ

81. カワヤナギと川柳

江戸末期、柄井川柳(からいせんりゅう)という人物が作った俳諧が広がり新しいジャンルとなったのが川柳だ。『サラリーマン川柳』として話題になるが、文芸の1ジャンルが人名そのままになったのは川柳以外にないそうである。雄よりもちょっと遅れて顔を出す雌のエゾノカワヤナギ。
雌のエゾノカワヤナギ

82. 雄花の葯が成熟する

エゾノカワヤナギの成熟スピードはゆっくりである。川を行き来する風に左右されるのかも知れない。
花 エゾノカワヤナギ

83. 役割を終えた葯

花粉を飛ばすと役割を終えた雄花はしぼんでいく。隣の葉に小さなクモが隠れていた。
雄花 エゾノカワヤナギ

84. 雌花

受粉した雌花は、小枝から立ち上がり成長していく。
雌花 エゾノカワヤナギ

85. 雄花、雌花の成長図

観察した結果を図にしてみた。
85

(つづく)

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2018年06月20日

ヤナギ物語H 夏の雪降る風景〜ドロヤナギ2

73. たわわになった綿毛

ドロヤナギ、初めて観る方もいるだろう。クリスマツツリーのように綿毛をぶら下げて風を待つ。爽やかな風が通り過ぎると、綿毛ツリーの先端部分から、タネを抱いた綿毛が、少しずつ、少しずつ離れていく。まるで夏の“雪の降る里よ”となる。
ドロヤナギ 綿毛 種子

74. 汚く見えるエゾノキヌヤナギ

同じヤナギ科のエゾノキヌヤナギも綿毛を膨らませる。ただ、外から見える姿はドロには負ける。
エゾノキヌヤナギ 綿毛 種子

75. 生命力のすごさ

エゾキノヌヤナギの雌花が成熟した様子である。一つ一つが実で(元は子房)、実が割れるとタネがついた綿毛が顔を出し、風と共に遠くに飛んでいく。綿毛をつくる生命力の凄さに驚く。タンポポは見ればタンポポの落下傘だと分かるが、ヤナギの綿毛は“塵・ゴミ”のような印象を与えるので人気がない。
エゾノキヌヤナギ 綿毛 種子

76. ヤナギの実の王様

ドロヤナギの綿毛と種である。エゾノキヌヤナギは泥よりもずっと小さくて見るのが大変だ。ヤナギの実の放出は、他の植物には真似のできない生命の継承法と言えそうだ。ドロヤナギはその中でも芸術性に富む。
ドロヤナギ 綿毛 タネ

77. 柳絮(りゅうじょ)

無風状態の中でのタネの放出である。神秘の世界を醸し出す。
ドロヤナギ 柳絮(りゅうじょ) タネの放出
柳絮(りゅうじょ)とは、※白い綿毛をもった柳の種子。また、それが雪のように散るさま。 [季] 春。

78. 分厚いドロヤナギ

6月下旬のドロヤナギの葉である。分厚くなり、緑色も濃くなる。いわゆるヤナギの葉のイメージはなくなる。
ドロヤナギの葉 夏

79. 汚くなる秋のドロヤナギの葉

秋になるとほかの木の葉が赤味を帯びるのに、ドロヤナギは茶色く汚い大きな葉となる。遠くで見ると、この汚さが見分けのポイントとなる。ほとんどが虫に食われ、地上の姿はゴミそのもので拾う人はいない。しかし、冬を迎える虫たちにとっては大切な栄養源となる。
ドロヤナギの葉 秋

(つづく)

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2018年05月26日

ヤナギ物語G 今を照らすドロヤナギ

66.巨木 ドロヤナギ

パイオニアツリー(先駆樹木)の代表的樹である。栄養の乏しい土壌で逞しく生きる。樹高20mにもなる。軟らかい材質なので別名ドロノキと呼ばれ、建材には向かずマッチの軸などに利用された。乏しい土壌だから早く太陽の光をキャッチしよう高くそして大きな葉に工夫してきたのだろう。春、最も早く鮮やかな緑を放っているのがドロヤナギである。
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67.寒がりのドロヤナギ

冬を越したドロヤナギの「冬芽」である。芽鱗(がりん)と呼ばれる数枚のコートで寒さを乗り越える。ヤナギの分類上、コートの枚数が多いグループ(ヤナギ科ハコヤナギ属)と1枚か帽子状のグループ(ヤナギ科ヤナギ属)で分けている。
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68. 雄雌の区別が出来ない早春

ドロヤナギも雄雌の区別があるが、この段階ではまだ区別が出来ない。映像から、粘り気のある若葉をみてとれないか。
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69. 雄花は綺麗だ

“ドロ”のイメージを打ち壊す鮮やかな色彩だが、虫媒花ではなく風媒花だそうだ。
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70. 複雑なつくりの雌花

雄花とは似つかない雌花である。風によって運ばれた花粉は、一つ一つの球状の中にある雌蕊の柱頭に付き成長する。
70

71. 実へと成長したドロヤナギ雌花

葉の成長とともに、実へと変化する。この実が割れ、その中にある綿毛に包まれたタネが放出される。
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72. 膨らんだ実

まもなく綿毛が出てくる。
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2018年05月16日

ヤナギ物語F 在りし日のネコヤナギ

54. 簡単で難しいヤナギの観察

ヤナギ類はちょっとした好みの場所があると根付く生命力の優れた生き物だ。樹木を雄雌に分けた理由が潜んでいるようだ。

この個性を利用して、道路の法面にヤナギを植え崩落を防いでいる所もある。かと思えば、洞爺湖サミットが開催される前、高速道路の法面のヤナギを、見栄えが悪いと伐採したことが週刊誌で取り上げられたこともあった。何ともちぐはぐな人間の世界だ。
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55. 観察地の破壊

2016年の春、ヤナギ類を観察していた長流川(北海道伊達市 アイヌ語 オ・サ?・ぺッ 川尻に葦原がある川 二級河川 管理北海道)の土手近くの広大な土地にブルが入った。旧志村化工跡地で、金属イオンを含んだ廃液が海に流れ込み、奇形の魚が捕獲されるようになり、海の汚染が社会問題化した。閉鎖後、埋立地の土壌汚染に不安があり立ち入り禁止の私有地だった。樹高10mをこす広大な林は、野鳥が繁殖地として利用してきた安心・安全の場所だった。
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56. 自然エネルギー活用の影で

全ての樹木を伐採した後に、太陽光発電用のパネルが設置された。私が観察していたドロヤナギ、バッコヤナギ、ウンリュウヤナギ、シロヤナギ、イヌコリヤナギ、カワヤナギ、エゾノキヌヤナギ、そして、カラマツが消えた。

広大な樹木林は二酸化炭素を大いに吸収し、地球温暖化阻止に貢献してきたはずだ。これをすべて伐採したのだ。何か狂っている。
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57. 白い雪と似合うネコヤナギ

ネコヤナギに出合ったのは2017年の秋だった。そして2018年の早春、まだ、有珠山が雪に覆われていた頃、ネコヤナギが芽鱗を外し始めた。春の訪れを感じさせてくれた一瞬である。
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58. 芽鱗を外すネコヤナギ

芽鱗(がりん)とはよくできたものである。春を感じたネコヤナギは、雄蕊を外に出すために細胞分裂を開始する。人が夏を感じると、衣を変える時の気分と同じようなものであり別に不思議なことではないのだが・・・。
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59. 虫を引き付けるネコヤナギ

まだ、北国は雪が降る3月下旬である。ネコヤナギは、虫たちに雄蕊の先を紅くして来訪を待つ。これを察した虫たちが『ありがとヨ!』とやってくるのだ。何とも微笑ましい生き物たちのコミュニケーションである。

4月17日、北海道伊達市の街なかの庭で、ニホンアマガエルが鳴いたそうだ。嘘だと思っていたら、21日にも鳴き、29日にも鳴き、その話を聞いた私も信じるようになった。日本の社会は嘘の多い安倍政治に翻弄され、自然現象や法則をも疑うようになったようだ。しっかりしろよ!
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60. 雄蕊が黒くなるネコヤナギ

雄蕊の花粉袋が黒くなると、やがてこの基部から若葉が顔をだし雄花を落す。
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61. 若葉の成長

受粉の仕事を終えたネコヤナギの雄は、何事もなかったように茎の先端を伸ばし、そして若葉を茂らせていく。雌のネコヤナギは、受粉した数多くの雌蕊を成熟させ、綿毛の付いた種を放出していく。
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62. 手触りの良いネコヤナギの葉

ヤナギ類の雌花・雄花が散った後、葉や幹の色でヤナギ類を見分けるには苦労が伴う。葉の質感、葉の幅の大・中・小、生育場所、樹高、鋸歯の様子など、見慣れればたやすいのだが見慣れるまでが大変だ。しかも人間たちの多くが、花が咲き終わると次の春まで見向きもしないからだ。そんな人のためにネコヤナギは葉の姿を分かり易くしたのかもしれない。ネコヤナギの葉を触ってごらん!何とも不思議な手触りである。

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63. 『葉をじっと観よ!』

レオナルド・ダ・ビンチが『葉をじっと見よ!』と弟子たちに言ったそうである。私もやってみた。鋸歯と葉脈の様子、表面の毛の様子が面白い。皆さんもぜひどうぞ。

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64. 何もかもが異なるエゾヤナギ

小枝の下(写真 上段右)から順番に並べたエゾヤナギの葉。写真63と見比べてみてください。特に、托葉の違いが良くわかる。ダ・ビンチの言葉は、今も生きている。

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65. 同じ日のエゾヤナギの小枝

ネコヤナギと全く異なることがお分かりかと思います。

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(つづく)

posted by 忍ちゃん at 06:05| Comment(0) | 植物