2019年03月16日

石ころ物語3 河口の石ころ@

13. 石ころに興味がある人は川岸に行くと良い。そこには余るほどの石ころがあるからだ。しかし、その川岸に行くのがそう簡単なことではないのだ。だったら簡単な海に行けばいいかというと海には石ころがない。
北海道伊達市を流れる長流川(おさるがわ 2級河川 アイヌ語のオ・サ・ぺッ→川尻に葦原がある川の意)の河口である。白く見える石ころは軽石だ。13長流川河口の軽石

14. 潮の満ち引きは、辿りついた石ころたちを揺らし、悠久の時間をかけて磨き、やがて砂から泥へと変化させる。そして、再び、堆積岩として生まれ変わる。自然界の輪廻である。時にはウエーブ・リップルという芸術品をつくるから面白い。14ウエーブ・リップル

15. 河口の変化に興味を抱いた私は、2004年頃から、時々、徒歩や自転車でやって来てはメモや写真におさめるようになったが、それでは飽き足らず、足を使って測定するようになった。その結果、砂州の形が違ってくるのを知り、病み付きとなった。
15長流川河口の砂州変化

16. 砂州の伸び方は、台風の進路が襟裳側か、奥尻島側かによって大きく変わる。強風が東風か、西風化によって、高波の向きが変わり、運ばれた砂が砂州を大きく変形させるのである。やがて、観察・記録の精度と信頼性を高めるために、月齢、時刻も考慮に入れ、自宅出発時刻を決めるようになった。16長流川河口砂州観察メモ

17. 月齢は図17とは異なっているが、同じ「大潮」である。形状がこんなにも異なっているのは台風の影響である。このような時の石ころは、運ばれた砂に埋もれあまり見ることができない。
高波に運ばれた砂は波打ち際で叩きつけられ、波が引く時に、砂浜は海水を吸収する働きがあるので、砂が残り結果として堆積していく。カモメやカラスはこの原理を知り、高波になると海岸に集まり、強風の中で食い物を見つけるのだ。17長流川砂州観察メモ台風後

18. 「小潮」で「干潮」時刻です。歩数でどのように描くか、その例を示しました。砂浜の固さは一様ではなく、また、凹凸もあり、1歩73cm(歩きやすい砂)、同70cm(やや歩きにくい砂)、同68cm(歩きにくい砂)にランク付けして距離を出している。川幅など、測定不可能な距離は、砂浜にある石ころを投げ(手で握れる大きさ 無理のない投てきで約20m)、この経験値をもとに導いている。GPSがあれば容易だが、しかし歩く距離はあまり変わらない。
18長流川観察メモ 観察法

19. 投てきに使う石ころである。永い旅を終えた石ころだ。大雨で運ばれたのではないか。風化して白くなったのはチョウセキか?穴が開いているが、噴火の際の発砲した穴なのか、それとも鉱物が取れ落ちたのかわからないが、軽石とは異なり重いので道具の一つとして使っている。方位計と巻尺をポケットに、バインダーとボールペンを持ち、カメラをぶら下げて歩数を数える観察・記録である。19長流川河口砂州観察メモ 道具

(つづく)

posted by 忍ちゃん at 11:14| Comment(0) | 自然・空・海・陸

2019年02月14日

石ころ物語2 我が家の石ころ

6. 昭和新山の石ころはレンガに例えられる。昭和新山は900℃前後のマグマが地表に出て、含まれる鉄が酸化し赤くなりました。天然のレンガです。
6昭和新山の石ころ

7. 江別のレンガです。我が家の玄関の壁と床はレンガです。天然のレンガより丈夫です。江別の粘土をブロック型にして約1000℃前後で焼いて出来上がります。1300℃の高温で焼くレンガや瓦もあります。石州瓦が有名ですね。赤色とは限りません。
7江別のレンガ

8. 物干し竿の支えブロックに石ころを見つけた。丸味がある。使用30年。
8物干し支えの中の石ころ

9. 家の周りに敷き詰めた石ころは角ばっている。採石場で粉砕されたようだ。安山岩。
9砕石された安山岩

10. 新築時は野草は生えず手間がかからなかったが、20年も過ぎると、次第に石ころが土の中に沈み、また、細かな砂が覆いかぶさり、日陰の所はコケが侵入し、そのコケの間からカタバミが入り込み、ツメクサ、トキンソウなどの野草もやって来る。土台の所にはツルマンネングサ(ベンケイソウ科)が広がる。
10風化が進む石ころ

11. 玄関と舗装道路の間に側溝の蓋の石ころ。丸味のある石ころと、角ばった石ころが混じっている。蓋と蓋との間に出てくる野草には、オオバコ、セイヨウタンポポ、ミチヤナギ、メヒシバ、スズメノテッポウなどしたたかだ。
11側溝の石ころ

12. 舗装道路の小さな石ころである。角ばっている。北海道の高速道路の舗装道路は、雪と、雪解け水と、夜、凍りつくことから、融雪剤が撒かれている。水を吸収する舗装道路の研究が行われているので、高速道を走っていると、所々で舗装の様子が違っているのに気づく。
12舗装道路の石ころ

posted by 忍ちゃん at 14:52| Comment(0) | 自然・空・海・陸

2019年01月08日

石ころ物語1 プロローグ

1. ヤナギ観察で川沿いに行くと、ある時、ボール状の石を見つけました。手に取り驚きました。ズシリと来たのです。もしかしたら・・・鉄が含まれる?と思いました。あたりを見回すとボール状の色の異なる石があるのに気がつきました。専門家は「円礫」と言うそうです(以下 円礫)。
1円礫

2. この川は、北海道伊達市に流れ込む長流川です(おさるがわ 2級河川)。全長50kmで、千歳市との境の山のふところに源があります。

重いと感じた円礫は河口から4km。下流と言ってもいいのですが、円礫の大きさから中流域ではないかと思います。

長流川とは、アイヌ語の「オ・サ?・ぺッ」(川尻に葦原がある川)で、これに漢字をあてはめました。アイヌ民族の保護に努めていた証です。先人の研究者に拍手です。
2北海道伊達市に流れ込む長流川

3. 角のある石ころです。しかも、赤く色づいています。実は線路の石ころ。地元の岩石を粉砕して詰めたのでしょう。安山岩です。粉砕できやすく、また、長持ちするので重宝がられています。その点で有珠山の安山岩は、今も、室蘭港から釜石、八戸、久慈、陸奥、気仙沼などに積み出されています。
3有珠山の安山岩

4.   9月6日午前、北海道全域でブラックアウトという停電に見舞われました。ところがこの踏切では、遮断機が下りたまま、停電なのに警報音が鳴り続け、頭に来た住民たちがJRに電話し、数時間後にやっと鳴り止んだのでした。

実はこの線路は、街をうろつくエゾシカの絶好のけもの道となり、時々人間を惑わせている。何とものどかな北国の隠れた石ころ物語である。
4線路の石ころ

5.   墓石は石ころとは言えませんが石の一つ。都会の墓苑のすごい賑わい。そしてアスファルトの中にも、コンクリートの中にも小さな石ころが混じり、私たちはそれに気づかず歩いている。昔々人類は、石を道具にすることに驚き、今度は、粘土を石に出来たことに感激したのです。そして今、私たちの周りは石ころだらけとなりましたが、なぜか石には関心がない。不思議です。
5墓石

(つづく)

posted by 忍ちゃん at 18:11| Comment(0) | 自然・空・海・陸

2018年12月12日

ヤナギ物語エピローグ ヤナギを見続けて

164. 「ネコヤナギだ」がスタート

2014年4月29日、有珠山の「山開き」の時、女性グループとすれ違いざま、「ネコヤナギだ」「綺麗だね」と言って通過したその場所にヤナギがあった。

「エッ、こんなところにもネコヤナギが?」と疑ったことがこのシリーズのスタートとなった。
164 有珠山 バッコヤナギ

165. ネコヤナギとの出会い

花の名前を覚えるのが苦手な私がなぜ疑ったのか、もう一つの理由があった。以前、「ヤナギを見分けるのは素人には難しい」を耳にしていたからだ。ネコヤナギをこの目で見付けようと好奇心に火が付いたのである。
165 ネコヤナギの開花

166. 葉が決め手

やがてネコヤナギに辿りついた。長流川約3キロ半の周辺でわずか1株(♂)。葉が決め手だった。そしてネコヤナギの写真とそれにまつわる物語ができた。好奇心は広がり、ヤナギ物語21回シリーズと168枚の映像を発信することができた。
166 ネコヤナギの葉の裏

167. ネコヤナギの不滅の生命力

2018年4月、ネコヤナギに事件が起きた。ショベルカーによって土砂がかぶせられ埋もれてしまったのだ。しかし、絶望と思われた7月14日、土砂の中からネコヤナギが息を吹き返したのである。驚きと感動である。
167 ネコヤナギ不滅の生命力

168. ヤナギの人生にも目を向けてください

ヤナギ類は、早春の白い絹毛で人々を魅了する。ウンリュウヤナギはねじれた茎が花瓶に挿され、シダレヤナギは街路樹で漂う。コウリヤナギは行李の材料として、そして川沿いのヤナギ類は、遥か昔のアイヌモシリでイナウの大切な役割を担ったのである。

人間の日常生活に溶け込んだ「ヤナギ」。「素人でも何とかなりますよ」が私の答えである。一年間、お付き合いをありがとうございました。
168 日常生活に溶け込んだ「ヤナギ」

(おわり)

posted by 忍ちゃん at 19:17| Comment(0) | 植物

2018年11月27日

ヤナギ物語S その他のヤナギ

149. 北海道登別市の太平洋側から見える山並みの中に、標高1000m級の丸味を帯びた山がある。オロフレ(赤い)山である。太平洋側は雲に覆われやすく、その裾野のカルルスは大雨と温泉の名所である。その峠に登山道の入り口がある。
149オロフレ峠から洞爺湖を見る

150. オロフレ山頂に向かう標高約1000mの所で出会ったミネヤナギである。樹高は腰くらいで、ハイマツに混じって観ることができた。黄色の花が目に入り、雄であることが分かった。
150ミネヤナギ

151. ほぼ同じ場所にて

同じ場所で、雌の株を見つけた。背が低く、地を這っている。花が咲くのは下界のヤナギ類よりだいぶ遅い。
151ミネヤナギ

152. シダレヤナギ

冬芽の向きが逆さだが、シダレヤナギは枝が垂れ下がる。逆さに見えるのはそのためだ。さて、この冬芽は雄花?、雌花?
152シダレヤナギは枝

153. シダレヤナギの葉

公園、街路樹などに植えられるのがシダレヤナギだ。この写真は近くの児童公園のものだ。
153シダレヤナギの葉

154. シダレヤナギの雄の樹

雄花、雌花を探すのだが、樹冠の近い所に雄花が見えた。雌花もそうだが、シダレヤナギは数が非常に少ない。
154シダレヤナギの雄の樹

155. シダレヤナギの葉

シダレヤナギの葉である。細身でエゾノカワヤナギに似ている。鋸歯を比較すれば、シダレヤナギの方が刺々しい。しなやかに揺れるシダレヤナギだが、意外である。
155シダレヤナギの葉

156. シロヤナギ

樹皮が白いのでシロヤナギと名前を付けたそうだが、そうは見えない。区別の基準にすると混乱する。巨木が多い。まだ葉が出ない時、樹冠近くの小枝を見て、真っ直ぐ伸びているのがシロヤナギと判断する方が無難だ。意外と多いヤナギである。
156シロヤナギ

157. 雄の冬芽

見た目で分かったのではなく、ず〜と観察していたら、雄花が出たことから、この樹は雄の樹だと分かった。高木であり、下枝は3m位にあり背伸びしても届かない。スキーのストックを持参してその枝を引っ掛け、引き寄せて撮影した冬芽である。
157シロヤナギ雄の冬芽

158. 川の土手で発見

この樹が雌であると分かったのも、冬芽が開花した結果からだ。川沿いには土手がある。土手の近くに生えていたシロヤナギに枝が、土手に延びていた。
158シロヤナギ雌

159. シロヤナギの雄花

雄のシロヤナギと雌のシロヤナギの生育環境は、川を中心に向かい合う土手の川原という関係で、雄の樹の方が土手から10mほど内側の川原だ。また、両方とも、クマイザサの中にあるという点でも共通していた。
159シロヤナギの雄花

160. シロヤナギの雌花

シロヤナギの雌花で、何となく表面に白っぽさを感じる。
160シロヤナギの雌花

161. シロヤナギの葉

雄花が咲かなかった小枝の葉だ。他のヤナギ類のように長身ではない。
161シロヤナギの葉

162. 白さがある

雌の小枝をちょっと拝借。よく見ると、小枝が白く見える。表面が絹毛で覆われている。
162シロヤナギの葉

163. 6月上旬のシロヤナギの葉

並べてみた。季節的にはまだ春である。葉脈にも白い絹毛が密集している。「樹を見て森を見ず」というが、「葉を見て樹を見ず」ということか。シロヤナギと名前を付けたのは、太い幹の白さではなく、小枝の白さを見て付けたのではないかと思った。
163 6月上旬のシロヤナギの葉

(つづく 次回は最終回)

posted by 忍ちゃん at 17:54| Comment(0) | 植物