2018年05月16日

ヤナギ物語F 在りし日のネコヤナギ

54. 簡単で難しいヤナギの観察

ヤナギ類はちょっとした好みの場所があると根付く生命力の優れた生き物だ。樹木を雄雌に分けた理由が潜んでいるようだ。

この個性を利用して、道路の法面にヤナギを植え崩落を防いでいる所もある。かと思えば、洞爺湖サミットが開催される前、高速道路の法面のヤナギを、見栄えが悪いと伐採したことが週刊誌で取り上げられたこともあった。何ともちぐはぐな人間の世界だ。
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55. 観察地の破壊

2016年の春、ヤナギ類を観察していた長流川(北海道伊達市 アイヌ語 オ・サ?・ぺッ 川尻に葦原がある川 二級河川 管理北海道)の土手近くの広大な土地にブルが入った。旧志村化工跡地で、金属イオンを含んだ廃液が海に流れ込み、奇形の魚が捕獲されるようになり、海の汚染が社会問題化した。閉鎖後、埋立地の土壌汚染に不安があり立ち入り禁止の私有地だった。樹高10mをこす広大な林は、野鳥が繁殖地として利用してきた安心・安全の場所だった。
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56. 自然エネルギー活用の影で

全ての樹木を伐採した後に、太陽光発電用のパネルが設置された。私が観察していたドロヤナギ、バッコヤナギ、ウンリュウヤナギ、シロヤナギ、イヌコリヤナギ、カワヤナギ、エゾノキヌヤナギ、そして、カラマツが消えた。

広大な樹木林は二酸化炭素を大いに吸収し、地球温暖化阻止に貢献してきたはずだ。これをすべて伐採したのだ。何か狂っている。
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57. 白い雪と似合うネコヤナギ

ネコヤナギに出合ったのは2017年の秋だった。そして2018年の早春、まだ、有珠山が雪に覆われていた頃、ネコヤナギが芽鱗を外し始めた。春の訪れを感じさせてくれた一瞬である。
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58. 芽鱗を外すネコヤナギ

芽鱗(がりん)とはよくできたものである。春を感じたネコヤナギは、雄蕊を外に出すために細胞分裂を開始する。人が夏を感じると、衣を変える時の気分と同じようなものであり別に不思議なことではないのだが・・・。
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59. 虫を引き付けるネコヤナギ

まだ、北国は雪が降る3月下旬である。ネコヤナギは、虫たちに雄蕊の先を紅くして来訪を待つ。これを察した虫たちが『ありがとヨ!』とやってくるのだ。何とも微笑ましい生き物たちのコミュニケーションである。

4月17日、北海道伊達市の街なかの庭で、ニホンアマガエルが鳴いたそうだ。嘘だと思っていたら、21日にも鳴き、29日にも鳴き、その話を聞いた私も信じるようになった。日本の社会は嘘の多い安倍政治に翻弄され、自然現象や法則をも疑うようになったようだ。しっかりしろよ!
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60. 雄蕊が黒くなるネコヤナギ

雄蕊の花粉袋が黒くなると、やがてこの基部から若葉が顔をだし雄花を落す。
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61. 若葉の成長

受粉の仕事を終えたネコヤナギの雄は、何事もなかったように茎の先端を伸ばし、そして若葉を茂らせていく。雌のネコヤナギは、受粉した数多くの雌蕊を成熟させ、綿毛の付いた種を放出していく。
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62. 手触りの良いネコヤナギの葉

ヤナギ類の雌花・雄花が散った後、葉や幹の色でヤナギ類を見分けるには苦労が伴う。葉の質感、葉の幅の大・中・小、生育場所、樹高、鋸歯の様子など、見慣れればたやすいのだが見慣れるまでが大変だ。しかも人間たちの多くが、花が咲き終わると次の春まで見向きもしないからだ。そんな人のためにネコヤナギは葉の姿を分かり易くしたのかもしれない。ネコヤナギの葉を触ってごらん!何とも不思議な手触りである。

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63. 『葉をじっと観よ!』

レオナルド・ダ・ビンチが『葉をじっと見よ!』と弟子たちに言ったそうである。私もやってみた。鋸歯と葉脈の様子、表面の毛の様子が面白い。皆さんもぜひどうぞ。

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64. 何もかもが異なるエゾヤナギ

小枝の下(写真 上段右)から順番に並べたエゾヤナギの葉。写真63と見比べてみてください。特に、托葉の違いが良くわかる。ダ・ビンチの言葉は、今も生きている。

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65. 同じ日のエゾヤナギの小枝

ネコヤナギと全く異なることがお分かりかと思います。

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(つづく)

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2018年04月26日

ヤナギ物語E 今どきのヤナギたち

46. ネコヤナギが消えた

農業用ダム内の整地作業が行われていた。見てびっくり。ヤナギ原が土砂に埋もれていたのである。ありゃ〜・・・。ネコヤナギの観察が終わった。
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47. 対岸からのヤナギ原

今年も爆弾低気圧が予想される。ダムの整地もやむを得ない。むしろ安倍政権の温暖化対策が問題なのだ。原発依存と石炭火力発電に舵を切ったことの方が“異常”なのだ。このヤナギ物語シリーズに打撃となった。
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48. イヌコリヤナギの雌花

イヌコリヤナギの開花は、ウンリュウヤナギ、シロヤナギ、シダレヤナギよりは早い。そして、イヌコリヤナギの雌花は、雄花の開花より若干遅れる。
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49. イヌコリヤナギの雄花

イヌコリヤナギの雄花も、雌花も、その濃紅色の鮮やかさが素晴らしい。ヤナギ類は北半球の温帯に生息し約350種あるという。白亜紀(恐竜の繁栄と絶滅の時期)の化石で発見されたそうで、人間と同様、雄雌の区別で生き残った。虫媒花である。
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50. おびただしいエゾヤナギの雄花

巨木のエゾヤナギの下には6cm近くのおびただしい役割を終えた雄花が散乱していた。道路沿いにエゾヤナギがあると、舗装道路に散乱する様子は確かに汚いが、いつの間には綺麗になるから不思議である。
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51. 新芽が新鮮なエゾヤナギ

ヤナギの新しい若葉は新鮮である。葉で種を見分けるのが難しいのもヤナギ類の特徴で、ただ、エゾヤナギは托葉に特徴があるので助かる。若葉は若葉らしく、白い絹糸で覆われているようだ。
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52. 枝に立つエゾノカワヤナギの雌花

ヤナギ類の雌花は緑がかっているので、慣れると遠くからでも雌雄の区別ができるようになる。黄色がかっているのが雄花だ。
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53. 役割を終えつつあるエゾカワヤナギの雄花

葯から花粉を出すと、その役割を終えてしぼんでいく。もう、若葉が小枝の先から出て伸びていく。隣の葉の裏に小さなクモが隠れていた。なるほど、雄花に来る虫を捉えようとの算段である。自然は面白い。
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(つづく)

posted by 忍ちゃん at 18:01| Comment(0) | 植物

2018年04月24日

ヤナギ物語D 爆弾低気圧と闘うヤナギたち

37. 爆弾低気圧の痕跡

ヤナギ類の観察地長流川沿いは、昨年の爆弾低気圧の痕跡が残っていた。それでもヤナギたちは逞しく生きている。枝に引っかかった雑草類が増水の凄さを残していた。
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38. 一挙に堆積

2級河川長流川は(アイヌ語 オ・サ?・ぺッ 川尻に葦原がある川)、はるかな昔からこの地を流れていた。

2007年5月、ウグイの観察で河畔を訪れる計画をしたが(水温15℃になると溯上)、直前の爆弾低気圧で機会を逃したことがあった。予想を超えた土砂の堆積を目の当たりにした時、自然を甘く見てはいけないことを教えられた(河口から約4km)。
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39. 農業用ダム

向こうに見えるのが農業用のダムで、5月中旬になるとゲートが降り川水が溜められ、その一部が「樋門」(ひもん)から水田に導かれる。
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40. 再び 爆弾低気圧

2018年3月、再び豪雨による増水があった。ヤナギたちはそれに耐え抜いた。
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41. 壮観なウグイの溯上

川は悪い事ばかりあるものでもない。毎年繰り広げられるウグイの壮観な溯上である。キタキツネやエゾタヌキもこれを狙ってやって来る。
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42. 色とりどりの石ころ

長流川の上流にグリーンタフ(緑色凝灰岩)の地層がある。また、まだ日本列島が大陸から分離していない2700万年前の地層もある。色とりどりの石ころがこの下流域に確認できる。その一つ一つの石ころには物語が隠されており、川原は物語を豊かにしているようである。
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43. 水晶を発見

青色系、緑色系の石ころを探していたら、大きな石ころの間に5cmほどの緑色の小さな石ころを見つけた。その小さな石ころのクレーターの中に小さな水晶があるのに気が付いたのだ。水晶だ。こんな小さな石ころにも長い々々物語があるものだ。
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44. この河畔と作業道路周辺には、イヌコリヤナギ、エゾノキヌヤナギ、エゾノカワヤナギ、エゾヤナギ、ネコヤナギ、シロヤナギ、ウンリュウヤナギ、ドロヤナギ、そしてバッコヤナギなど9種類がある。

各種の高木、低木、雄、雌、さらに、今成長しようとしている幼樹が混在し、早春を賑わせているヤナギミュージアムである。


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posted by 忍ちゃん at 17:43| Comment(0) | 植物